OKR (Objectives and Key Results)

OKRの種類

コミットするOKR

コミットするOKRとは、組織として必ず達成すると決め、確実に達成されるようにスケジュールやリソースを積極的に調整するOKR。コミットするOKRに期待される評点は1.0である。1.0未満であった場合には原因を究明する。

  • チームには期限までに1.0の成果を確実に達成できるように他の優先事項を調整することが求められる。
  • コミットするOKRで1.0を達成できそうにないチームは、速やかに上申しなければならない。問題が生じたのがOKRをめぐる意見の相違のためか、優先順位についての意見の相違のためか、あるいは十分な時間、人員、リソースを配分できていないためにかかわらず、上申すべき。それにより、チームを管理する立場にある人々が、対策を検討し、対立を解決することができる。
  • コミットするOKRで、期日までに1.0を達成できなかったら、必ず事後分析をする。チームを処罰することが目的ではない。OKRの計画段階や執行段階で何が起きたかを理解し、今後チームがコミットするOKRで確実に1.0を達成する能力を身につけるため。

野心的なOKR

野心的なOKRとは、我々が実現したい世界を描くOKR。どうすればそこに到達できるのか、そのOKRを達成するのにどれほどのリソースが必要か、まるでわからなくても構わない。野心的OKRに期待される平均評点は0.7だが、変動幅は大きい。

  • 野心的なOKRは、特定の四半期のチームの業務遂行能力を超えるはず。チームのメンバーはOKRの優先順位を参考に、コミットする目標を達成した後に残された時間を何に使うかを判断する。一般的に優先順位の高いOKRを、優先順位の低いOKRより先に完了させるべき。
  • 野心的OKRと関連する優先事項は、完了するまでチームのOKRリストに残し、必要なれば次の四半期へと引き継いでいく。進捗がないのを理由に、リストから削除するのは間違いである。それは優先順位のつけ方、リソースの配分、あるいは問題や解決策の理解の欠如といった根深い問題にフタをすることになるから。
  • マネージャにはチームの野心的OKRの達成に必要なりソースを評価すること、そして四半期ごとにそれを要求することが求められる。既知のニーズを組織に報告するのはマネージャの義務である。ただその野心的OKRの優先順位が、組織がコミットするOKRに次ぐものでないかぎり、要求したリソースがすべて与えられると期待すべきでない。

目標 = 「何を」

  • ゴールと意図を表す。
  • 野心的だが、現実的である。
  • 具体的、客観的で、曖昧さがない。合理的なオブザーバーから見て、目標が達成されたか否かが明確でなければならない。
  • 目標の達成は、会社に明確な価値をもたらす。

主要な結果 = 「どのように」

  • 測定可能なマイルストーン。それを達成することが、目標達成につながる。
  • 活動ではなく、成果を書く。
  • 完了のエビデンスを明記する。

よくある間違え

間違え1. コミットするOKRと野心的OKRを区別できない

  • コミットするOKRにすべき項目を、野心的OKRとすることで、未達の可能性が高まる。
  • 逆に、野心的OKRをコミットするOKRにすると、それを達成する方法を見いだせなくなり守りに入る。

間違え2. 通常業務をOKRとする

  • チームが自分たちにとって本当に必要なことや顧客にとって重要なことではなく、現在のやり方を一切変えずに達成できそうなことをOKRにすることも多い。

間違え3. 弱気な野心的OKR

  • 野心的OKRは、「今より少し人手が増えて、少し幸運に恵まれたら何ができるか」ではなく、「もし制約がほとんどなかったら、数年後、われわれ(あるいは顧客)の世界はどう変わっているかだろうか」と考えるべき。
  • リトマステスト:顧客に本当の要望を尋ねるとしたら、野心的目標はそれを叶える、あるいは上回るものだろうか?

間違え4. 力の出し惜しみ

  • チームのコミットするOKRには、入手可能なリソースの大部分を割くべきだが、全部ではない。コミットするOKRと野心的OKRを合わせると、入手可能なものをやや上回るリソースが必要になるはず。(そうでなければ、すべてコミットする目標ということになる。)
  • チームが人員や資金のすべてを費やさずに、すべてのOKRを達成できる場合、リソースを溜め込んでいるか、チームが限界に調整していない、あるいはその両方と見なされる。経営上層部から、人員やリソースをもっと有効活用しそうなグループに再配分すべきというサインになる。

間違え5. 価値の低いOKR

OKRは明確な事業価値を約束するものでなければならない。そうでなければ、そのためにリソースを割く理由がない。価値の低いOKRとは、たとえば1.0の評点で達成されたとしても、誰も気づかない、あるいは気にしないものである。

  • リトマステスト:そのOKRは合理的に考えて、1.0の評点を得ても、エンドユーザーへの直接的価値あるいは経済的恩恵をもたらさない可能性があるか。

間違え6.コミットする目標に対して、「主要な結果」が不十分

  • OKRは望ましい成果(目標:O)と、その成果を達成するのに必要な測定可能なステップ(主要な結果:KR)に分かれる。すべてのKRで1.0の評点が得られれば、目標も1.0の評点がえられるようにKRを作成することが重要である。
  • よくある失敗は、目標達成に対してKRが全体として「必要不十分」であること。この失敗が起こりやすいのは、チームが困難なKRを完了するのに必要なコミットメント(リソース、優先順位、リスク)を避けようとするから。目標達成に必要なりソースの特定を遅らせるだけでなく、目標が予定通りに達成されないリスクの発覚も遅らせるから。
  • リトマステスト:すべてのKRで1.0の評点を得ても、目標の意図が達成されない可能性があるか。その場合はKRを完了すれば目標も確実に達成されるように、KRを追加・修正する。

追加のリトマステスト

  • そのOKRを書くのに5分もかからなかったら良いものではない。じっくり考えること。
  • 目標が1行に収まっていないなら、十分簡潔とは言えない。
  • KRにチーム内でしか通じない用語が含まれていたらおそらく良くない。
  • 具体的日付を使う。すべてのKRの期日が四半期の最終日となっている場合まともな計画がない証拠。
  • 「主要な結果」は必ず測定可能なものにする。四半期末に客観的に評価つけられなければならない。
  • 指標に曖昧さがないこと。
  • OKRに含まれていないが、チームによって重要な活動があればOKRに追加する。
  • 規模が大きい組織では、OKRを階層式にする。